毎年この時期になると来シーズンのスギ花粉の飛散予測がされます。先日、ウェザーニュースと日本気象協会が予測発表しましたが、2社の予測は全く反対になっています。長年の研究により前年の7月の日照時間が長いほどスギ花粉の飛散量が多くなるとされているのですが、今年の7月の気象に対する解釈が2社で違うことにより判断が分かれたようです。昨年の7月は雨が少なく天候が良かったので、今年のスギ花粉の飛散量は関西でやや多めで、今年の春はスギ花粉症で悩まれた方が多くおれれました。また、以前から1年おきに飛散量が多くなるとも言われており、この法則に従えば来年は少なくなることになりますが、近年はこの隔年の法則はあてにならなくなってきているようです。いずれにせよ、年末近くになると実際のスギの雄花のつき具合がわかってくるので、来年の飛散が多いのか少ないのかはっきりするでしょう。

数年前から始まったスギ花粉症に対する舌下免疫療法は、スギ花粉の飛んでいない時期に始めなければなりません。治療効果は良好で、副作用も少なく、花粉症シーズンでも追加薬をほとんど使用することなく過ごしておられる方もおられます。3~5年毎日継続することが必要で、いくつかの内服薬でおこる眠気はありませんが、アナフィラキシーなどの副作用をよく理解して治療をおこなわなければなりません。現在のところ年齢は12歳以上からが対象、薬は液体で冷蔵庫に保管する必要がありますが、今年の9月に舌下錠が認可されたので、冷所保存の手間がなくなり、さらに低年齢の患者さんへの適応拡大が期待されています。スギ花粉症の方で内服薬などでのコントロールがうまくできない患者さんの治療の選択肢の一つとして舌下免疫療法を考えてみてはどうでしょうか。スギ花粉症の治療ガイドラインも作成されていますから、それを参考に症状の重症度に応じた治療が大切になります。耳鼻咽喉科専門医と相談しながら自分にとって一番適切なスギ花粉症対策を進めていきましょう。

 

松田耳鼻咽喉科(大阪市鶴見区)

院長

松田耳鼻咽喉科