子どもの「いびき」、放っておいていいの?
前回は大人のいびきについてお話ししましたが、今回は子どものいびきについてです。実は、子どもの睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)は、大人とは診断の基準が違います。
大人の場合よりも厳しく見ていて、子どもの場合は「寝ているあいだに10秒以上の無呼吸・低呼吸が1時間に1回あるだけでも」睡眠時無呼吸症候群と考えます。 これは、無呼吸が子どもの成長や体に与える影響が大人よりも大きいからです。
子どもは自宅で検査しづらいので「症状」が大事
大人と違って、子どもは自宅で行う簡易検査が難しいことが多いため、ふだんの様子(症状)を知ることがとても大切です。次のような症状がいくつか当てはまる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
- ほぼ毎日いびきをかく
- いびきが急に止まって、十数秒後にまた大きないびきをかき始める(無呼吸の可能性)
- 息をするときに胸がへこむような、苦しそうな呼吸をしている(陥没呼吸)
- つねに口で息をしている、鼻づまりが続いている
- 夜中に何度も目を覚ます
- 日中に眠そうだったり、ぼーっとしていることが多い
こうした症状がある場合、睡眠中の様子をスマホで動画撮影しておくと診察のときにとても役に立ちます。 できれば音声も入れて、胸やおなかの動きがわかるように撮っておいてください。
よくある原因は?
子どものいびきや無呼吸の原因として多いのは、次のようなものです。
- 口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)が大きい
- アデノイドが大きい
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による鼻づまり
診察で原因がわかれば、その原因に合わせた治療をすることが大切です。たとえばアレルギーや鼻づまりが原因ならお薬でよくなることがありますし、扁桃やアデノイドが大きい場合は手術を検討することもあります。
こんなときは受診してください
- ほぼ毎日大きないびきをかいている
- 口呼吸がずっと続いている
- 鼻づまりがひどくて息がしづらそう
こうした様子が見られたら、一度耳鼻咽喉科に相談してみてください。
「子どものいびき=よくあること」と思われがちですが、成長や睡眠の質に影響することもあります。早めに気づいてあげることが大切です。
院長 松田泰明(日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医)2025年11月10日更新

